報道番組より歯科医院での感染リスクの報道(当院に限らず歯科を受診される全ての方対象にした情報)
今回の情報は当院に限らず、歯科にかかっておられる全ての方に向けた情報になります。
全ての医院で行われなければいけない一般的な感染対策(スタンダードプリコーション)を行なっているという基準で説明させて頂いています。
まずはある報道番組での『歯科医院は受診すべきか』について国際医療福祉大学 感染症学主任教授の松本哲哉先生による回答の要約です(番組内の該当箇所のYouTubeを下記にリンクを示します)。
・ツィッターで広まっている歯科医院は感染リスクが高いとの情報は間違っているように思う
・感染リスクがあるのは患者さんではなく歯科医療従事者側の方であり、歯科医師の間では飛沫感染のリスクが高い処置は避けようという流れがある
・患者さんが歯科医院を受診するのが感染リスクが高いわけではない
個人的にこの意見に同意します。歯科医院での感染リスクが高いことを示した論文を読んで頂ければ分かりますが、リスクがあるのは歯科医療従事者の方です。
なので、いわゆる感染対策は患者さんのために行うという面以上に歯科医療従事者自身を守るという面においても大切です。
そのため、熱や咳などの症状があったり流行地域に行かれたりする場合は新型コロナウイルスに感染している可能性が高いため、歯科医療従事者や他の患者さんへの感染を防ぐために必ず事前に報告するべきです。
歯科は平時よりB型肝炎やエイズなどのウイルス感染リスクに対応しながらの診療をしています。
この数年マスコミからの問題提起が頻繁になされていたこともあり今回の新型コロナウイルスの問題がでてきたからではなく、それ以前から器具の滅菌、手袋、マスク、治療前後の清拭、などをほとんどの医院でキチンと行っています。
ちなみに今現在、新型コロナウイルス感染者が増えている中、歯科医院での感染者も歯科医師の感染者の報告も上がっていません(検査が行き届いていない側面はあると思いますが、少なくとも著しい院内感染はないと思われます)。
ただし、いわゆる『3密』の環境下では感染リスクが高まるため待合室内に多くの人が集まる事態などは避ける必要はあります。
そのため通常時よりは医院規模に応じて予約数の制限などはするべきです。
痛みやお困りのことがある患者さんにおかれても飛び込みの来院はせずにまずは事前にかかりつけ歯科医にご相談されてください。
また、人が集まるところを厳しく制約されている方については緊急性の高い処置を行う必要がなければ、受診することによって人と接することで感染リスクを高めてしまうこともあります。
その場合もかかりつけの歯科医と相談をして、処置を先延ばしにするのかどうか相談されてください。
口腔ケア不足による免疫力低下で感染リスクが高まることが、日本歯科医師会や日本歯科医学連合などで指摘されています。
歯科の受診の必要性は個人ごとの口腔内の状態や地域での新型コロナウイルスの感染状況によって変わってきますが、受診できない場合であっても免疫力は感染予防にとって重要な要素であり、ブラッシングやうがいや義歯の洗浄などのセルフケアをしっかりと行うことが大切です。